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秒速5センチメートル
 BD版が届いてから早二週間半。
 暇もないし、何か構えちゃうしで見れてなかったのをやっと見ました。

 何かネットじゃ鬱になるだー凹むだー言われてますが全然でした。
 
 正直今のネットユーザー、と言うかその中でも低年齢層になるのかな、は暗い展開、重い展開を目にするとすぐに欝だ何だと言うけれど、語彙力と感受性が腐ってんじゃねぇのかと思ってしまう。
 いや、鬱って言葉が便利すぎるんだよな。
 「DQN」って言葉、非常識な言動や行動を行う人に対して使う言葉だけど、本当便利でしょ(当然ネットでしか使わないけれど)、あれと一緒、あれくらいの汎用性があるよ。ほんと。

 構える必要もクソも無かった。これは実生活で恵まれていようといなかろうと関係なしに。

 話は戻って。作品自体は別にそこまでがっちり色々な事が描写されている訳でもなく、一人の少年が中学校、高校、そして社会人として恋愛と向き合っている姿を結構淡々と描いてる。その中で、有る意味「男独特の」幼さ、引きずってる感覚や、少しずつ大人になって行くことと、それに伴う痛みや悲しみを描いている。んで、最後に畳み掛けるように山崎まさよしのOne More Time,One More Chanceと共にパラパラとそこに至る過程が補完される様に流れて終わりって感じ。

 話自体は結構好きな部類なんだけど、如何せん時間が短い。三話構成を一時間で収めてるのもあれだけど、最後の一話が実質十分程度しかないのも何だかな、と。
 最後の方でこれダイジェスト版ですか?って思っちゃいました。

 結局、26歳になって(26歳ってのはチャプタータイトルより、でも時代背景からして大体俺+3~5歳くらいだろうとは予想がついた)、偶然あの人とすれ違ったときに今までがフラッシュバックしたけど、結局印象的な記憶は一話と二話と三話のOne More~で流れた部分くらいしか残ってなくて、時間と忙しさは「色々なもの」を変えてしまう、ああ諸行無常、俺は引きずってました、女は強えー(これは主人公ではなくて鑑賞者、つまり俺たちが味わう感想ね)、俺も前に進むか、ってストーリーで良いんでしょうか。


 あのね、絵が綺麗過ぎるんだよね。で、そっちにばっかり目が行っちゃって作品自体の評価が上手く出来ない。
 すごく印象的な絵作りをしてるんだよね、その補正の凄さはマジで認めざるを得ないと思う。
 まず描写の凄さね、小田急、豪徳寺、新宿、種子島、大宮。この再現度がまず半端ない。それは凄い、本当凄い。光源の描写も素晴らしいね、線路に光るライトや深い青の空と太陽、ロケットのジェット噴射、ネオン。
 次に演出ね、深深と降る雪と電車のコンボね、これもつい数ヶ月前に寝台で北海道まで行った俺にクリーンヒットね、あれも素晴らしい。
 んで塗りね、兎に角凄く綺麗。40Mbpsマジ半端ない。細部の表現も流石1080p、素晴らしい。もうね、なんつーか「絵」が動いてるんですよ、ほんと。VHSからDVDに移行した時の衝撃をもう一度味わった感じ。
 ただ、コンビニでの絵作りを見る限り、次世代テレビや次世代ディスクでの4K仕様も遠い先じゃないとは思ったね。まだまだ細かく出来るなと。

 くどい様だけど本当に飛びぬけた絵作りで、次世代のアニメを描ききっているとは思う。
 でも、内容が追いついていないかな、って残念ながら思っちゃうんだよ。
 映像特典のOne More~PVの方が本編よりクるんだよね、正直。

 いやね、俺だって一人前に恋くらいしてるしね、報われないものばっかりだけど、そういうものの中で、色々振り返ったりすることも、胸が締め付けられる様な感情も、馬鹿みたいに気持ちを引きずる辛さも味わったことは有るよ、でもそれの有る無しで、この作品の評価は変わんないかな。
 描きたかったものは解るけど、俺も少しばかり歳をとったのかな、そこまで感情は揺さぶられなかった。何でかな、やっぱり何かが足りないんだと思う。高校生や大学生のうちに見ておくべきだったかな。それとも逆にあと数年暖めてから見るべきだったのかな。

 映像補正と音楽補正が強すぎるアニメでした、が決して嫌いじゃないです。
 65点。

 違うな、なんだろう、映像と音楽が凄すぎてストーリーが霞んでるだけで、ストーリーも相当に素晴らしいのかな、よく解んないな、うーん、また暫くしたら素面の状態で見直してみようかな。
 何かね、自分でも予想以上に琴線に触れなかったんですよ、いや、ある程度は胸にキュンと来たんだけど、想像していたより遥かに小さいレベルなんですよね。ズレているのは俺のほうなんだろうか。感受性が腐ってきているのは俺のほうなんだろうか。

 追記@なんとなく解ったけど、本編である「秒速5センチメートル」という一時間の映画が主題歌である「One More Time,One More Chance」という5分の曲に「胸を締め付ける力」で負けてるんだ。だから何かが足りないと思ったんだ。
 たぶんこれだ。うまく文章に出来ないけど、俺をモヤモヤさせた原因は。

 追記2@あと、若干ベタなのかもしれない、これ。言い換えればこの作品はステレオタイプな失恋モノの域を出ていないと俺の脳味噌が感じ取っているのかもしれない。
by emporfahren | 2008-05-05 02:46 | アニメ
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